コラム
歯石取りの頻度はどれくらい?最適な間隔や放置するリスクを解説

歯石は一度硬くなると歯ブラシでは落とせず、放置すると歯周病や口臭の引き金になります。
そのため、早めに歯石取りを行う必要があります。
しかし、どれくらいの頻度で通えばよいのかと疑問を抱く方も多いでしょう。
実際、歯石がつくスピードには体質や生活習慣によって大きな個人差があります。
本記事では、一般的な歯石取りの頻度や症状別の適切なペース、放置するリスクを解説します。
歯石取りの頻度の目安は3〜6ヶ月に1回
歯石除去の基本的な目安は、3〜6ヶ月に1回とされています。
これは、歯石が形成される平均的な期間にもとづいたものです。
ただし、この頻度は標準であって、全員に当てはまるわけではありません。
歯石のつき方や歯ぐきの炎症レベルなどによって、必要な間隔は大きく異なります。
ここでは、年1回では不十分な理由や、細かいメンテナンスが必要なケースを解説します。
年1回では不十分な理由
年に1回だけの歯石取りでは、歯周病の早期発見や予防に追いつかないことがあります。
歯垢は数日で硬くなりはじめて、2週間ほどで歯石に変化します。
そのまま1年放置すると、歯石の量が増え続けることになるでしょう。
さらには歯周ポケットが深くなり、細菌が繁殖しやすい環境を生み出します。
これらの理由から、年1回の受診だけでは十分な予防効果を得られないため、定期的なチェックとクリーニングが不可欠です。
月1〜2回の短い間隔が必要なケース
月1〜2回と短い周期での歯石取りが必要になるのは、歯周病治療中の方や歯石が極端につきやすい体質の方です。
歯周ポケットが深い場合、ブラッシングでは汚れを取り切れず、細菌が溜まりやすい状態が続きます。
また、喫煙者・ワイヤー矯正中・唾液のミネラル量が多い方は、歯石が再形成されるペースが早い傾向があります。
こうしたケースでは、短めの間隔で専門的なクリーニングを行うことが重要です。
炎症を抑えて、症状の悪化や再発リスクを大幅に軽減できます。
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歯石とは?発生の仕組みと種類
歯石は、磨き残しが固まったものというイメージが強いかもしれません。
実際には、唾液のミネラル成分や細菌の働きが複雑に関与して作られるものです。
ここでは、プラークが歯石になるまでの流れや歯石の種類、付着しやすい部位を解説します。
どのように歯石ができ、どこに蓄積しやすいのかを理解しておくと、毎日のケアの改善ポイントが見えやすくなるでしょう。
適切なメンテナンス頻度を判断する手がかりにもなります。
プラークが歯石になるまでの流れ
食後に歯面へ付着するプラーク(歯垢)は、細菌が集まってできる柔らかい膜で、うがいでは除去できません。
このプラークを放置すると、唾液中のカルシウムやリン酸が結合し、数日で硬化がはじまります。
約2週間で、歯ブラシでは落とせない硬い歯石へと変化します。
歯石の表面はザラザラしているため、新たな細菌が付着しやすいのが特徴です。
炎症や歯周病の進行を助長する原因にもなります。
歯石の種類
歯石は「歯肉縁上歯石」と「歯肉縁下歯石」の2種類に分けられます。
歯肉縁上歯石は歯ぐきの上にできるもので、黄白色〜茶褐色の比較的柔らかい歯石です。
目視で確認しやすく、除去も容易な部類に入ります。
一方で、歯肉縁下歯石は歯周ポケット内に沈着する黒褐色の硬い歯石です。
血液成分を取り込むため色が濃く、肉眼では確認できません。
縁下歯石は歯周病菌が繁殖しやすい環境を作り、歯ぐきの炎症から骨吸収まで引き起こします。
そのため、専門的な処置で丁寧に取り除くことが欠かせません。
歯石が溜まりやすい部位
歯石はどこにでも同じように付着するわけではありません。
唾液腺の開口部に近い場所ほど、形成されやすい傾向があります。
とくに「下の前歯の裏側」や「上の奥歯の外側」は、唾液が集まりやすく、ミネラルが歯垢と反応して歯石へと変化しやすい代表的な部位です。
また、歯並びの凹凸が強い場所や、奥歯の見えづらい隙間など、ブラッシングが行き届きにくい部分も歯石の溜まり場になりがちです。
こうした部位はセルフケアだけでは限界があるため、定期的な歯科医院でのクリーニングが早期発見・早期除去に役立ちます。
歯石を放置した際のリスク

歯石を放置すると、まず歯ぐきに炎症が起こり、腫れや出血を伴う歯肉炎を発症しやすくなります。
進行すると歯ぐきが下がり、歯肉退縮や知覚過敏を引き起こすことも珍しくありません。
また、歯石の粗い表面には細菌が増殖しやすく、口臭が強くなる原因にもなります。
炎症が慢性化すると歯周病が悪化し、最終的には歯を支える骨が溶けて歯を失うリスクも高まります。
さらに歯周病菌は血流を通じて全身に広がることも。
糖尿病や心血管疾患との関連が報告されている点にも注意が必要です。
【症状別】歯石取りの頻度の目安
ここでは、歯石取りの頻度の目安を下記の症状別に解説します。
- 健康な歯ぐきの場合
- 軽度歯肉炎
- 中等度〜重度の歯周病
- 歯石がつきやすい体質の人
- 矯正中の場合
詳しく見ていきましょう。
健康な歯ぐきの場合
歯ぐきに炎症がなく、普段から丁寧に歯磨きができている方は、3〜6ヶ月に1回の歯石取りが基本です。
歯石がつきにくい方や歯並びが整っている場合は、半年に1回でも良好な状態を保てます。
また、日常的にフロスや歯間ブラシを使っている方は歯垢の滞留が少なく、歯石の形成速度も遅くなります。
ただし、歯周病の初期症状は自覚しにくいため、最低でも年2回は歯科検診を受けて、見えない変化を専門家に確認してもらいましょう。
軽度歯肉炎
歯ぐきの腫れや軽い出血がみられる軽度歯肉炎では、健康な状態よりも短い間隔での歯石取りが必要です。
目安は2〜3ヶ月に1回です。
定期的に細菌量を減らすことで、炎症の改善が期待できます。
歯肉炎は痛みが少ないため見過ごされがちですが、歯石が残ったまま放置すると歯周病へ進行するリスクが高まります。
歯周ポケットがやや深くなっている場合は、自宅の歯磨きだけでは汚れを完全に除去できません。
専門的なクリーニングと正しい磨き方の指導を併用しましょう。
中等度〜重度の歯周病
歯周ポケットが深くなっている中等度以上の歯周病では、1〜2ヶ月に1回の頻度で歯石取りを行うことが推奨されます。
歯周病が進行すると、歯ぐきの内側に硬い歯石(歯肉縁下歯石)が付着し、自宅のケアでは取り除けません。
細菌の温床となる歯石を放置すると炎症が悪化し、歯を支える骨が溶かされてしまう危険もあります。
そのため、短期間で継続的にクリーニングを行うことが重要です。
必要に応じて、SRP(ルートプレーニング)による治療も併用します。
歯周病を悪化させないためにも、歯科医師の指示にしたがって適切な頻度で通院しましょう。
関連記事:歯周病の初期症状とは?見逃しやすいサインと早めの対処法を解説
歯石がつきやすい体質の方
唾液中のミネラル量が多い方、歯並びの影響で磨き残しが出やすい方は、歯石が短期間で再形成されやすい傾向があります。
そのため、3ヶ月に1回程度の歯石取りを行うのが理想です。
また、甘いものをよく摂る方、口呼吸が習慣化している方も歯垢が固まりやすいため注意が必要です。
丁寧に歯磨きをしていても体質的に歯石ができやすい場合は、セルフケアだけで完全に予防することは難しいといえます。
こまめなプロケアで口内環境を整えましょう。
矯正中の場合
矯正治療中は装置の周囲に歯垢が溜まりやすく、通常より歯石の形成ペースが早まります。
そのため、1〜2ヶ月に1回の歯石取りが望ましいでしょう。
ブラケットやワイヤーは細かい部分を磨きにくく、日常ケアだけでは歯垢を取り切れません。
矯正歯科では歯石取りを行わないケースも多いため、ワイヤー調整のタイミングに合わせて一般歯科でクリーニングを受ける必要があります。
適切な頻度で歯石を除去することで、治療中のむし歯・歯周病を防ぎ、矯正をスムーズに進められます。
歯科医院で歯石を取る方法
歯石はブラッシングでは落とせないため、歯科医院で専用器具を使って除去します。
歯石を取る代表的な方法は、下記のとおりです。
| 方法 | 詳細 |
|---|---|
| スケーリング | 超音波振動で歯石を除去 |
| SRP(スケーリング・ルートプレーニング) | 歯周ポケット内の歯石を1歯ずつ除去 |
| PMTC(専門クリーニング) | 歯垢・着色・バイオフィルムを除去し研磨 |
| エアフロー(パウダー清掃) | 微細なパウダーを噴射し汚れを除去 |
安全で確実な除去のためにも、自己流ではなく歯科医院での定期的なケアを受けましょう。
歯石取りの費用相場
歯石取りの費用は、保険診療か自費診療かで異なります。
歯周病や炎症の治療が目的の場合は、保険が適用されます。
初診では検査料を含めて3,000〜4,000円前後、2回目以降は1,500〜2,500円程度が一般的です。
歯石の量や付着部位によって処置時間が変わるため、費用が増減することもあります。
一方、着色除去や予防のみを目的としたクリーニング(PMTC・エアフローなど)は保険適用外となります。
相場は、5,000〜1万円ほどです。自費メニューでは、歯石取りに加えて研磨やバイオフィルム除去など総合的なメンテナンスが受けられる点が魅力です。
医院ごとに料金体系が異なるため、事前に確認しておくと安心して通えます。
歯石をためないためにできるセルフケア

歯石は、歯垢(プラーク)が取り残されたまま硬化することで形成されるため、日々のセルフケアでプラークを取り除くことが最大の予防になります。
重要なのは、歯と歯ぐきの境目を意識した正しいブラッシングです。
ただし、歯ブラシだけでは届かない部分が必ずあります。
デンタルフロスや歯間ブラシを併用して、細部の汚れまで取り切りましょう。
自分では「磨けている」と感じていても、磨き癖によって特定の部分にプラークが残りやすくなります。
そのため、歯科衛生士によるブラッシング指導(TBI)を受けるのがおすすめです。
自分では気づきにくい癖を改善し、効率的に歯垢を落とせる磨き方を習得できます。
セルフケアと定期検診を組み合わせることで、歯石の蓄積を大幅に抑えられます。
まとめ:最適な頻度でメンテナンスし、健康な歯ぐきを守ろう
歯石は一度硬くなるとセルフケアでは除去できず、放置すれば歯ぐきの腫れや出血、歯周病の悪化など、さまざまなトラブルを引き起こします。
3〜6ヶ月に1回の歯石取りを習慣にすることで、こうしたリスクを未然に防ぎ、健やかな口内環境を保てます。
とくに歯石がつきやすい方や、歯周病の既往がある方は、短い間隔のメンテナンスが効果的です。
「重井歯科医院」では、専用の機器を使用して歯垢や歯石を丁寧に除去します。
歯石が気になる方はもちろん、「これ以上悪化させたくない」「将来まで自分の歯を残したい」という方も、ぜひ一度ご相談ください。
この記事の監修者

山中 邦成
重井歯科医院 院長
《略歴》
2009年3月 明海大学歯学部卒業
2011年4月~2012年3月 明海大学病院勤務
2012年4月~2024年4月 都内歯科医院勤務
2024年5月~ 重井歯科医院開院



