顎関節治療

顎関節治療

顎関節治療とは?
顎関節治療とは、顎関節症(がくかんせつしょう)に対する専門的な治療です。顎関節症は、口を開こうとすると顎関節(耳の穴の前にある関節)や顎を動かす筋肉が痛む、十分に口を開けられない、または口の開け閉めで顎関節に音がするなどの症状を特徴とします。一生の間に二人に一人が経験すると言われるほど多くの方が経験する症状ですが、実際に治療が必要となるのは症状を自覚した人の約5%と推定されています。
顎関節症は主に4つの病態に分類されます。
- 関節円板という顎関節内のクッションが前方にずれて「カクンカクン」という音が出る状態
- 関節円板のずれがより大きくなり、口が大きく開けられなくなる状態
- 下顎を動かす筋肉の機能不全により、口を開けようとすると頬やこめかみの筋肉が痛む状態
- 関節を作っている骨が変形するタイプ(長年顎関節症が続いていたり、高齢の方に多く見られます)
こんな方におすすめ
- 口を開け閉めした時に顎関節に痛みがある
- 口を開けたり閉じたりする時に「カックン」「コッキン」といった音がする
- 口が開けにくくなった、または口の開閉がスムーズにできない
- 食事をしているとあごがだるい、噛みしめると顎関節が痛い
- 顎関節症が原因と思われる頭痛、首や肩の痛み、肩こりなどがある
- めまい、耳鳴り、耳がつまった感じがする
- 歯ぎしりやくいしばりの習慣がある
- ストレスや緊張で顎に力が入りやすい
- 頬杖をつく、うつ伏せ寝をするなどの癖がある
- 歯列接触癖(口を閉じているときに上下の歯を接触させている習慣)がある
当院の顎関節治療における特徴
当院では、顎関節症の「多因子病因説」に基づき、患者様一人ひとりの症状や原因を詳細に分析し、最適な治療計画を立案します。
- 精密な問診、口腔内診査、X線撮影、必要に応じてCTやMRIなどを用いた正確な診断
- 近年重要視されている「歯列接触癖(TCH)」に注目した治療アプローチ
- スプリント(マウスピース)を用いた噛み合わせの調整
- 患者様の生活習慣や姿勢の改善指導
- 顎関節や筋肉の負担を軽減するためのセルフケア指導
- 症状の緩和だけでなく、原因となる要因の改善を重視した長期的な治療
特に「歯列接触癖」については、顎関節症患者さんの約8割が持っていることが明らかになり、この癖を治すことで症状が改善することが分かっています。当院では、この点に特に注目した治療を行っています。
顎関節治療のメリット
- 顎の痛みや不快感を軽減できる
- 口の開閉をスムーズにできる
- 顎関節症に伴う頭痛、肩こり、耳鳴りなどの関連症状も改善できる
- 歯ぎしりやくいしばりによる歯の磨耗や破折を予防できる
- 適切な顎関節の位置を保つことで、噛み合わせを改善できる
- 顎関節に過度な負担がかからなくなり、関節の変形や劣化を防止できる
- 適切な自己管理方法を身につけることで、再発リスクを減らせる
当院の顎関節治療の流れ

初診・問診
まず患者様の症状について詳しくお聞きします。いつから症状が始まったのか、どのような時に症状が出やすいのか、これまでの経過などを確認します。また、日常生活での習慣や姿勢、ストレス状況についても詳しくお伺いし、顎関節症の原因となる要因を探ります。同時に、顎関節の状態、口の開き具合、顎の動きなどの基本的な検査も行います。
精密検査と診断
問診の内容をもとに、より詳細な検査を行います。X線撮影により顎の骨格や関節の状態を確認し、必要に応じてCTやMRIなどの精密検査も実施します。これらの検査により、顎関節内部の状態や関節円板の位置、骨の変形の有無などを詳細に把握します。また、顎関節症と似た症状を引き起こす他の疾患との鑑別診断も重要なステップです。
治療計画の立案
検査結果に基づき、患者様の症状や原因に合わせた個別の治療計画を立てます。顎関節症は一人ひとり症状や原因が異なるため、オーダーメイドの治療計画が重要です。この段階で、治療内容や期間、予想される経過などについて詳しく説明し、患者様の理解と同意を得た上で治療を開始します。治療目標を明確にし、患者様と共有することで、効果的な治療を進めることができます。
治療の実施
治療計画に基づき、具体的な治療を開始します。多くの場合、スプリント(マウスピース)を用いた噛み合わせの調整を行います。これにより、顎関節に負担をかけない正しい位置関係を保つことができます。また、歯列接触癖(TCH)の改善指導や、顎関節や筋肉のリラクセーション法の指導も重要な治療の一部です。生活習慣の改善指導として、頬杖やうつ伏せ寝の回避、正しい姿勢の維持などについてもアドバイスします。必要に応じて、噛み合わせの調整も行い、顎関節への負担を軽減します。
経過観察とメンテナンス
治療開始後は定期的に通院していただき、症状の変化を確認します。症状の改善状況に応じて、スプリントの調整や治療内容の見直しを行います。また、自己管理方法が適切に実践できているかを確認し、必要に応じて指導内容を調整します。症状が安定した後も、定期的な検診を継続することで再発を防止します。顎関節症は再発しやすい特性があるため、長期的な視点でのケアが重要です。治療後も自己管理方法を継続していただくことで、健康な顎関節の状態を維持することができます。
顎関節症の多くは適切な治療と生活習慣の改善により、日常生活に支障をきたさない状態まで改善できます。症状でお悩みの方は、早めにご相談ください。