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歯周病の初期症状とは?見逃しやすいサインと早めの対処法を解説
2025/10/29
歯周病は、痛みが少ないまま進行するため、気づいたときにはすでに重症化しているケースも少なくありません。
「歯ぐきが少し腫れている」「ブラッシング時に血が出る」といった初期のサインを見逃すと、やがて歯を支える骨まで炎症が広がり、最終的には歯を失うリスクもあります。
本記事では、歯周病の仕組みや初期症状の特徴、対処法を解説します。
小さな違和感を放置せず、日常のケアで健康な口元を守りましょう。
歯周病とは?
歯周病は「歯を支える組織」に炎症が起こる慢性疾患で、日本人の成人の多くが抱えているといわれています。
ここでは、歯周病がどのように進行し、どの段階でどのような違いがあるのかを見ていきましょう。
歯周病が進行する仕組み
歯と歯ぐきの境目には、食べかすや細菌がたまりやすい隙間があります。
この部分に付着する歯垢(プラーク)は、数時間で細菌の温床となり、放置するとやがて硬い歯石に変化するのです。
歯石が形成されると、ブラッシングでは除去が難しくなり、細菌がさらに繁殖して歯ぐきに炎症を引き起こします。
炎症が続くと歯を支える骨(歯槽骨)が少しずつ溶け出し、やがて歯がぐらつく原因になるため、注意が必要です。
初期段階では軽い腫れや出血程度ですが、放置すると歯ぐきの退縮や膿、最終的には歯の脱落に至ることもあります。
歯肉炎・歯周炎との違い
歯周病は、炎症の進行度によって「歯肉炎」と「歯周炎」に分けられます。
歯肉炎は、歯ぐき(歯肉)のみに炎症がある軽度の状態で、適切なケアを行えば回復可能です。
一方で歯周炎は、炎症が歯を支える骨や歯根膜にまで及んだ状態を指します。
この段階では歯ぐきの腫れや出血だけでなく、歯が動く・歯ぐきが下がるなどの症状が現れます。
進行すると骨の吸収が進み、自然に歯が抜けてしまうことも。
歯肉炎のうちに異変に気づき、早めに治療を行うことが歯周病を食い止めるポイントです。
歯周病になりやすい人の傾向
歯周病は誰にでも起こりうる病気ですが、生活習慣や体質によってリスクが高まる場合があります。
とくに、下記のような傾向がある方は注意が必要です。
●喫煙習慣がある方:血流が悪くなり、歯ぐきの免疫力が低下しやすい
●糖尿病を患っている方:炎症が治りにくく、症状が進行しやすい
●妊娠中・更年期の女性:ホルモンの変化で歯ぐきが腫れやすい
●ストレスや睡眠不足が続いている方:免疫力が下がり、細菌に感染しやすくなる
●偏った食生活をしている方:栄養バランスの乱れが歯ぐきの健康に影響しやすい
●歯磨きが不十分な方:歯垢が残り、歯石が形成されやすくなる
●定期検診を受けていない:初期の異常に気づきにくく、悪化しやすい
こうした要因が重なると、歯垢や歯石がたまりやすくなり、歯周病の発症・進行を助長します。
日常の習慣を見直し、早めのケアを意識することが重要です。
歯周病のおもな初期症状
歯周病の初期段階では、痛みや強い不快感があまりなく、自覚しにくいのが特徴です。
そのため「少し腫れている気がする」「血がつくことがある」といった軽い異変を見逃してしまう方が多くいます。
ここでは、歯周病の初期によく見られる代表的な症状を解説します。
●歯ぐきが腫れる・赤みが強くなる
●ブラッシングやフロスで出血する
●歯ぐきがむず痒い・違和感がある
●口臭や口のネバつきが気になる
詳しく見ていきましょう。
歯ぐきが腫れる・赤みが強くなる
健康な歯ぐきは淡いピンク色で引き締まっていますが、炎症がはじまると赤みを帯び、腫れぼったく見えます。
細菌の刺激で血流が増え、歯と歯の間の三角形の部分がふくらむのが特徴です。
鏡で見ると「以前より色が濃い」「輪郭が丸くなった」と感じることがあります。
痛みを伴わないことが多いため放置されがちですが、こうした見た目の変化は初期の炎症反応です。
毎日の歯磨きの際に、歯ぐきの色や形の変化を観察する習慣をつけると、早期発見につながります。
ブラッシングやフロスで出血する
強く磨いていないのに、歯ブラシやフロスに血がつく場合、歯ぐきに炎症が起きているサインです。
炎症によって毛細血管が拡張しているため、わずかな刺激でも出血しやすくなります。
一度きりの出血なら一時的な可能性もありますが、同じ箇所から繰り返し血が出るようなら注意が必要です。
初期の歯周病では痛みを感じにくいものの、出血は体からの警告といえます。
「血が出る=磨きすぎ」と誤解してケアを怠ると、かえって悪化することもあるため、気づいた時点で歯科医院に相談しましょう。
歯ぐきがむず痒い・違和感がある
明確な痛みがなくても、「歯ぐきがムズムズする」「違和感が続く」といった微妙な感覚がある場合、歯周病を疑います。
歯ぐきの内部で炎症が進行すると、かゆみに近い刺激や軽い圧迫感が生じることがあります。
この段階では見た目に大きな変化がなく、自分では気づきにくい点が厄介です。
とくに同じ箇所ばかり気になる場合は、炎症が局所的に起きている可能性も。
「疲れや季節のせい」と軽視せず、違和感が数日続くようなら歯科のチェックを受けましょう。
口臭や口のネバつきが気になる
歯周病菌は、口内でたんぱく質を分解する際に、悪臭成分(揮発性硫黄化合物)を発生させるのが特徴です。
そのため、進行とともに口臭が強くなる傾向があります。
炎症によって唾液の働きが低下すると、口の中がネバつきやすくなります。
朝起きたときや会話中に乾燥や不快感を覚える方は、早めに受診するのがおすすめです。
口臭は自覚しにくい症状の1つですが、家族や友人に指摘されたり、自分で変化を感じたりしたら、歯周病が進みはじめている可能性があります。
【進行段階別】歯周病の症状
歯周病は、進行の度合いによって症状や見た目が大きく変わります。
段階ごとの特徴を知ることで、自分の状態を見極めやすくなり、早期の対処が可能です。
ここでは、健康な状態から重度までの変化を順に見ていきましょう。
●健康な歯ぐきの状態
●歯肉炎|初期の炎症段階
●軽度歯周炎
●中等度歯周炎
●重度歯周炎
詳しく解説します。
健康な歯ぐきの状態
健康な歯ぐきは、薄いピンク色で引き締まっており、歯と歯の間をぴったりと覆っているのが特徴です。
歯ぐきを指で押しても痛みや出血がなく、歯と歯ぐきの隙間(歯周ポケット)は2mm未満が理想的です。
歯磨きのあとに血が出ることもなく、口臭も感じません。
この状態を維持するためには、毎日の正しいブラッシングに加え、歯科での定期的なクリーニングが不可欠です。
歯肉炎|初期の炎症段階
歯肉炎は、歯周病の初期の段階です。
歯と歯ぐきの境目に歯垢がたまり、細菌が繁殖することで炎症が起こります。
歯ぐきが赤く腫れ、歯磨きやフロスで出血することがありますが、この段階ではまだ歯を支える骨(歯槽骨)は侵されていません。
痛みがないため軽視されがちですが、早めに歯石を除去し、正しいブラッシングを続ければ元の健康な状態に戻せるでしょう。
毎日のケアで改善できる、数少ない段階といえます。
軽度歯周炎
歯肉炎を放置すると、炎症が深部へ進み、歯を支える骨が少しずつ溶けはじめます。
この状態が軽度の歯周炎です。
歯ぐきは赤くぶよぶよとし、ブラッシングのたびに出血が見られることもあります。
また、歯と歯ぐきの隙間は3〜4mmほどに広がり、歯が浮いたように感じる方もいます。
症状はまだ軽いものの、自己流ケアだけでは改善が難しいため、歯科でのスケーリング(歯石除去)やブラッシング指導が必要です。
中等度歯周炎
中等度歯肉炎は、歯周ポケットの深さが4〜6mmに達し、歯槽骨の半分ほどが破壊されている状態です。
歯ぐきからの出血や膿、口臭の悪化などが目立ちはじめ、食事中に噛みにくさを感じることもあります。
炎症が広範囲に及ぶため、歯ぐきが下がり、歯が長く見えるようになります。
この段階では自宅ケアでは改善できず、歯科医院での徹底したクリーニングやルートプレーニング(歯根の清掃)が必要です。
重度歯周炎
重度歯周炎は、歯を支える骨の大部分が溶け、歯が大きく動くようになった状態です。
歯周ポケットは6mm以上に深くなり、膿がたまって強い痛みや腫れを伴うこともあります。
硬いものが噛めない、歯が自然に抜けるなど、日常生活にも支障をきたす段階です。
治療には外科的な処置や再生療法が必要になることも多く、完全な回復は難しい場合があります。
初期段階で気づくためのセルフチェック
歯周病は、初期のうちは痛みが少ないので、自分では気づきにくい病気です。
ここでは、初期段階で気づくためのセルフチェックの方法を紹介します。
●歯ぐきの色や形を観察する
●歯磨き時の出血やにおいを記録する
●気になる変化があるなら歯科医院を受診する
将来の大きなトラブルを防ぐためにも、小さなサインを見逃さないようにしましょう。
歯ぐきの色や形を観察する
健康な歯ぐきは薄いピンク色で引き締まっていますが、炎症がはじまると赤みが強くなり、ふっくらと腫れぼったく見えるようになります。
歯と歯の間の三角形の部分が丸くなったり、境目のラインが不明瞭になったりするのも初期のサインです。
腫れや変色は痛みを伴わないことも多く、気づきにくいのが特徴です。
歯磨きの際や朝の支度時に、数秒でも歯ぐきをチェックする習慣を持つことで、早い段階で異変を発見しやすくなります。
歯磨き時の出血やにおいを記録する
歯を磨いたときに、歯ブラシに血がついたり、口の中に鉄っぽい味を感じたりした場合は注意しましょう。
これは、歯ぐきの毛細血管が炎症で拡張しているサインです。
口臭やネバつきを感じるようになった場合は、歯周病菌が増えている可能性があります。
一度の出血ではなく、数日間にわたって繰り返し起きているかを記録すると、自覚のない進行を把握できます。
「毎日同じ場所で出血する」「朝起きるとにおいが気になる」といった傾向があれば、早めの受診を検討しましょう。
気になる変化があるなら歯科医院を受診する
初期の歯周病は、歯石除去や正しいブラッシング指導で改善できる場合も多くあります。
自己判断で放置してしまうと、気づかないうちに炎症が深部まで進行し、治療が長引くことも。
「我慢できる程度だから」と放置せず、軽い違和感の段階で相談しましょう。
定期検診のついでにチェックしてもらうのもおすすめです。
プロの目で確認することで、早期発見・早期治療につながります。
歯周病が全身に及ぼす影響
歯周病は口の中だけの病気ではなく、全身の健康にも深く関わっています。
歯ぐきの炎症が進むと、歯周病菌や炎症性物質が血管を通じて体内を巡り、さまざまな疾患のリスクを高めます。
●動脈硬化・心筋梗塞・脳梗塞:血管内で炎症を起こし、血流を妨げる原因になる
●糖尿病:炎症によって血糖値が上がりやすくなり、症状が悪化しやすい
●誤嚥性肺炎:口内の細菌を誤って気管に吸い込み、肺炎を引き起こすことがある
●妊娠中のトラブル:歯周病を放置すると、早産や低体重児出産のリスクが高まる
歯周病を防ぐことは、歯を守るだけでなく、心臓・脳・呼吸器など全身の健康を守るケアにもつながります。
歯周病のおもな治療法
歯周病の治療は、症状の進行度によって方法が異なります。
ここでは、歯科医院で行われるおもな治療内容を解説します。
●歯科で行う基本治療
●外科的治療や再生療法
詳しく見ていきましょう。
歯科で行う基本治療
歯周病の基本治療では、炎症の原因となる歯垢(プラーク)や歯石を徹底的に除去します。
スケーリングやルートプレーニングと呼ばれる処置で、歯ぐきの下に入り込んだ歯石まで丁寧に取り除きます。
正しいブラッシング方法の指導や、歯の噛み合わせの調整を行うことも。
これらの治療によって炎症を鎮め、歯ぐきが引き締まることで歯周ポケットが浅くなります。
軽度〜中等度の歯周病であれば、この段階で大きく改善が見込めるでしょう。
外科的治療や再生療法
基本治療でも改善が見られない場合は、歯周外科治療が検討されます。
代表的なのは「フラップ手術」で、歯ぐきを一時的に開き、深部にたまった歯石や感染組織を除去します。
破壊された骨や歯根膜を再生するための「再生療法」が行われることも。
人工膜や再生誘導材を用いて、失われた組織の回復を促す方法です。
これらの治療を行ったあとも、再発を防ぐために、定期的なメンテナンスと正しいセルフケアが必要です。
歯周病を防ぐセルフケアと予防のポイント
歯周病は、毎日のケアと生活習慣の見直しで予防できます。
下記のポイントを意識して、口の中を清潔に保ちましょう。
| ポイント | 内容 |
| 正しいブラッシングを心がける | 歯と歯ぐきの境目に45度の角度でブラシをあて、やさしく小刻みに磨く |
| デンタルフロス・歯間ブラシを併用する | 歯ブラシだけでは届かない歯間の汚れを除去する |
| 就寝前のケアを強化する | 就寝前のケアを強化する 寝ている間は細菌が増えるため、デンタルリンスで仕上げうがいを行う |
| 生活習慣を見直す | 禁煙・十分な睡眠・栄養バランスの取れた食事で免疫力を維持する |
| 定期検診を受ける | 3〜6ヶ月に1回は歯科で歯石除去とチェックを行う |
日々の小さな積み重ねが、歯と全身の健康を守る予防策になります。
まとめ:初期症状を放置せず、早めのケアで歯の健康を守ろう
歯周病は、初期段階では痛みがない場合が大半のため、「気づいたら進行していた」というケースが多い病気です。
歯ぐきの腫れや出血、口臭などの小さなサインを放置せず、早めに歯科医院でチェックを受けることが、健康な歯を守るポイントです。
日々のセルフケアと定期的なメンテナンスを続けることで、将来の歯のトラブルを大きく減らせます。
「重井歯科医院」は、墨田区の乳幼児・妊産婦健診にも対応した、家族の口腔健康を支える地域密着型の歯科医院です。
患者さまの状態に合わせた「痛みに配慮した治療」と「予防中心のケア」を行っています。
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子どもから高齢の方まで、安心して通っていただけます。
歯ぐきの違和感や口臭が気になったら、「重井歯科医院」へご相談ください。
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